はじめに
本書のテーマは、今後のシニア生活をいかにして快適に満喫するのかです。
そのためには、心身面での満足感や金銭面での余裕が大切ですよね。
まだまだ若いのですから、社会との繋がりは大切です。
また、今までの生活のレベル(質)は落としたくないですよね。
公的年金だけでは、今までの生活レベルは維持できませんから頑張って再就職したとしても、しっかりと税金(所得税)は給料から源泉徴収(天引き)されます。
お伝えしたいのは、せっかく再就職して得たお金(給与)から源泉徴収される所得税を、いかにして取り戻すか(国税還付)、また今年確定した所得で翌年課税される市町村民税を、いかにして軽減するかをテーマにしており、わかりやすく解説いたします。
よろしくお願いいたします。
長年、勤めてきた企業をやっと退職したのに、これからの人生、公的年金だけで生活していくのは不可能に近いですよね(笑)。
リタイヤしたあとは、貯金や退職金などを切り崩して、自分の趣味に没頭するという考え方もありますが、いろんな方々にお話をお聞きしますと、
「確かにストレスは無いけれど、ストレスが無いのがストレスです」と言われます。
これからの長い人生、リタイアしたあとの新しい環境でも人間関係など社会とのつながりは、第二の人生を充実させ、楽しい日々を送る上でも、少しばかりのストレスは必要なのかもしれませんね。
定年後心機一転、再就職して新しい職場で働いても、所得税は、しっかりと給与から天引きされ、市町村民税も納付通知書により、納税しなければなりません。
特に、市町村民税は高いですね。
何かよい方法はないのでしょうか。
シニア世代の生活において、金銭面で重要なのは、少ない収入の中で、支出面での高い税金を、いかにして”ゼロ”にするかという無税生活の実現ですよね。
税金を払わなくてよかったら、生活はかなり楽になるでしょう。
現役時代、さんざん税金を払ってきましたからね・・・・・・(笑)。
シニア生活を快適に満喫する上では、心の満足と金銭面での余裕は大事ですね。
所得税を、給与から源泉徴収で天引きされても、後で取り戻す方法はあります。
確定申告(国税還付)をすれば、無税生活は十分可能です。
また、確定申告をすることで、翌年の市町村民税も軽減できます。
それに加えて、国民健康保険料、介護保険料なども軽減できます。
結論から言いますと、無税生活を目指すなら【ご自身の現役時代の経験】【得意分野】【心からお好きなこと】を副業とされ【ささやかな事業】として開業するのです。
現在の日本は、コロナウイルス感染症の影響でテレワークが花盛り、大手企業は、現役世代でも副業を容認する時代になりました。
これからのシニア世代も【ささやかな事業】で開業して、所得税法の総合課税制度【損益通算】(後で詳しく説明します)を十分に活用し、無税生活を目指しましょう。
【個人事業主】になるのは、とても簡単です。
【個人事業の開業・廃業届出書】と【青色申告承認申請書】を税務署に提出するだけです。
これからは、ブログのテーマであります【快適シニアライフのための税金対策】を、わかりやすく説明しますので、よろしくお願いいたします。
所得税法の概要を、わかりやすく説明します
今回のブログのテーマは、日本での居住者(人格)が、【給与所得】と【個人事業所得】を平行して収入を得た場合のメリットを説明します。
ただし、メリットの享受には、【所得税法】という相手を知らないと、対応できません。
まずは、税の種類、税金課税の仕組み、税務用語の理解から始めます。
1.税金の種類
日本での、主な税金の種類です。
国、県、市町村で、これだけの主な税金があります。
税収入は、日本を国家として成り立たせる重要な財源です。
お金は大事ですね(笑)。
また、景気をコントロールすると言う役割も担ってます。
景気が良くなると法人(企業)から法人税として吸い上げ、悪くなると法人を優遇してその補填として、個人収入からの所得税や、間接税である消費税、酒税・たばこ税などから吸い上げます。
あまり文句のでない酒税・たばこ税はどんどん引き上げますね(笑)。
税法は、民法や刑法などの基本理念である「正義」・「モラル」などの概念は薄く、そのときどきの日本経済状況に応じて、改正されます。
例えば、以前の交際費は遊興費との認識で、課税強化され税率が高かったのですが、現在は飲食店など関連業者の活性化を目的として、非課税上限額の緩和、税率の低減の方向にあります。
また、東北大震災からの復興を目的として、「復興税」を租税特別措置法で可決したのはわかりやすい事例ですね。
税法の基本理念は、税負担の公平性で、高い収入の人からは高く吸い上げ、低い収入の人からは低く吸い上げます(累進課税制度と言います)。
2.所得税での【所得の種類】
所得は、それぞれの性格によって分類されていて、全部で10種類あります。
性格の違いに応じて、税の計算方法は変えられています。
【収入】と【所得】は、税務用語ですが内容が違いますので、これから説明します。
上記、所得の種類別説明を【所得の定義】の表で、わかりやすくまとめてみますね。
これからは、【税務用語】も含めて、所得税法をわかりやすく説明します。
このブログのテーマは、サラリーマンとしての給与と、個人事業主としての収入を平行して得た場合のメリットについてですから、給与所得と事業所得に限って説明します。
■■■給与所得の場合■■■
上記の表から分かるとおり、【収入】と【所得】では内容が違います。
給与所得=収入-給与所得控除
※【収入】とは、源泉徴収票に記載されている支払い金額
※【給与所得控除】とは、自営業者の必要経費に相当するもので、靴代やスーツ代などサラリーマンとしての必要経費
ただし、給与などの収入金額(年間)により、控除できる金額が決められていますので、必要経費の定義がすごく曖昧な、自営業者に比べるとかなり厳しいですね。
※今までの給与所得控除の最低額は、65万円でしたが、2020年からは55万円に引き下げられています。
全体的に控除額が減ったことで、税負担が増えています。
■■■事業所得の場合■■■
事業所得=収入-必要経費
※【収入】とは、事業活動から生じる収入金額
※【必要経費】とは、事業を維持・拡大するために必要な経費
■【必要経費と通常の支払いの境界線】
個人事業主での必要経費の定義はすごく曖昧で、営む事業の性質によっても変わりますし、そもそも個人事業主の場合、仕事と生活に明確な境界線を引くのに難しい面があります。
サラリーマンと違って、一律の収入によって控除できる経費相当額(給与所得控除額)が決まっている訳ではありませんから、事業所得を赤字にするには必要経費は多い方が良いですね。
ただし、架空領収書で経費を水増しするのは違法です。
それは「悪意」(法律用語で知っていたと言う意味)がありますから処罰の対象になります。
個人事業主の必要経費には、交通費、事務所での備品などや営業回りでの車両費・燃料代、仕事場兼用にしている自宅の家賃、光熱費、通信費などの按分が認められています。
この金額(必要経費)は、大きいですね。ご自宅での事務所部分での電気・ガス・水道代、固定電話・携帯電話代(事業専用なら全額経費)、通信費、固定資産税、車検代、ガソリン代、駐車代、車両関係税金などを按分した金額は、事業のための必要経費です。
あと、事業を拡大するためには人脈は大事ですから「情報交換会」「新規取引先情報」「懇親会」などでの飲食・お土産・ゴルフ代なども必要経費です。
例えばですが、私が「商品」の販売業者でしたら、その時代でブームとなる「売れる商品」を探す必要があります。
たまたま、これは参考になると思われる商品を見つけて、その商品を購入したとしたら、それは新商品開発のサンプル商品ですから必要経費の範疇です。
同じ商品を購入したとしても、購入目的によって必要経費になったり、ならなかったりします。
さて、やっと【給与所得】と【事業所得】の違いを説明しました。
でも、これからが重要です。
日本での居住者が【給与所得】と【事業所得】を平行して収入を得た場合のメリットをこれからご説明します。
3.「損益通算」ができる総合課税と、できない「分離課税」
例えば、日本での居住者が給与所得と事業所得の二種類の所得がある場合、これらの所得は合わせてka【総合課税】されるのですが、赤字の所得は黒字の所得から差し引いて相殺することができる、これが【損益通算】です。
赤字は、黒字の所得から差し引くことができますが、給与所得と損益通算ができるのは、「事業所得」と「不動産所得」「譲渡所得の一部」「山林所得」の四種類です。
給与所得者が、損益通算によって源泉徴収により払い過ぎた給与所得税を取り戻すには、給与所得とペアになる上記四種類の所得は、赤字にならないと取り戻せません。
平たく言えば、給与所得と事業所得の二種類の所得がある場合、事業所得が赤字になれば払い過ぎた給与所得税を、国税還付で取り戻せます。
■損益通算ができない分離課税
ある所得を他の所得と合算せず、分離して課税することを言います。
■総合課税と分離課税の違い
総合課税とは、種類の違う「所得」を合算した総所得金額に課税する方式で、例えばサラリーマンの給与所得や、アパートなどの不動産家賃収入、個人事業主の事業所得などがあリます。
それに対して、分離課税は種類の違う所得とは合算せずに、分離して税額を計算する方法です。
分離課税の対象所得は、不動産売却による所得や銀行預金の利子所得、株の売却による所得などが該当します。
これは相続した土地などが、値上がりして売却により生じた利益や退職金など、一時的に大きな利益が手に入ったときに、その金額を通常の課税所得とは切り離して計算するものです。
■分離課税の税率
※一律20.315%
(所得税 及び復興特別所得税 15.315%+地方税5%)。
ここで注目すべきは、一律20.315%の中に住民税が含まれていることです。
分離課税は、分離した所得で納税が完結し、総合所得には影響しないのです。
つまり、分離課税で納税があっても、総合所得が赤字なら、すでに支払った給与所得税の還付と6月に通知される市町村民税は、ゼロに近くなります(市町村民は、均等割と所得割で計算します)。
総合課税と分離課税の違いを、ご理解いただけましたか。
そろそろ佳境に近づいてきましたね。
次のステップからは、所得から差し引く(収入からではなく所得からですよ)【所得控除】について説明します。
4.所得控除
■所得=収入-必要経費(給与所得控除)
■課税所得金額=所得金額-所得控除額
「所得控除」は納める税額を計算する前に、所得から差し引く、税法独特の【日本で生活する個人(国籍だけではなく、いろいろ条件があります)が、それなりに生活するための必要経費】とご理解ください。
所得から控除できる【所得控除】は、全部で14種類ありますが、主な控除を説明します。
これらの控除の中で特に知っておきたいのは、配偶者がパートなどの収入がある場合の、「配偶者控除」です。
収入には、住民税、所得税、社会保険料を納付しなくてもよい壁が、主に3つあります。
最初が住民税の壁で、年収が100万円以下であれば、妻本人には住民税はかかりません。
次が所得税の壁です。年収が103万円以下であれば、妻本人には所得税はかかりませんし、また夫が【配偶者控除】を受けられるかの壁にもなります。
最後に社会保険料の壁ですが、年収が130万円以下であれば妻本人は、社会保険料を納付しなくてもよいのですが、130万円を超えると、完全に夫の扶養から外れて、自分で国民年金保険料や国民健康保険料を納付しなければなりません。
配偶者の年収を、どのような方向にするかは、それぞれの家庭のライフスタイルと、今後の生活設計に応じて決定してください。
5. 税額控除
【税額控除】は、所得控除を差し引いたあとの金額(課税所得金額)に税率をかけて計算した税額からの直接控除が適用されます。
例えば「住宅借入金特別控除」などは、ダイレクトに税額から控除されるのでメリットが大きいです。
6.所得税の計算
今まで説明してきた「所得税の計算」を表で、まとめます。
この【表】が、今まで説明してきたことのすべてです。
そろそろ終盤に近づいてきましたね。
次のステップからは、納税の流れについて説明します。
7.源泉徴収、年末調整、確定申告の違いと納税の流れ
■源泉徴収義務者
会社や個人事業主が、従業員やアルバイトなどを雇って給与を支払ったり、顧問税理士料(謝礼)など外部の個人に報酬を支払う場合に、その支払いのつど、所得税と復興特別所得税を源泉徴収(天引き)して、支払う義務がある法人や個人事業主を指す。
■源泉徴収義務が免除される事業者
①常時二人以下のお手伝いさんのような家事使用人だけに、給与や退職金などを支払っている個人事業主。
②給与や退職金などの支払いがなく、弁護士報酬などの報酬・料金だけを支払っている個人事業主。
■源泉徴収・・・毎月の給与から差し引かれる税金(所得税)
年間の所得にかかる税金(所得税)を事業者が、従業員などの給与から、毎月(1/12)あらかじめ差し引くことを言う。
年間の所得は確定していないので、前年の所得を参考にした仮の税金。
■年末調整・・・サラリーマンや公務員などの給与所得者に対して、事業所などが支払った一年間(1月~12月)の給料・賞与や賃金及び源泉徴収した所得税などについて、原則として12月の最終支払日に再計算し、所得税の過不足を精算する制度。
■確定申告・・・原則として、毎年2月16日~3月15日の間に確定申告書を提出する。
本来であれば、所得の納税は確定申告で行うものですが、年末調整で納税の精算が済んでいる会社員などは、確定申告を免除されます。
ただし、医療費控除、雑損控除などを受ける会社員は、控除する金額の確定が、12月の最終給与までに間に合わないので、確定申告で申告・調整します。
また、以下の条件にあてはまる人は、確定申告を行って税金を納める義務があります。
①配当所得があった人
②不動産所得があった人
③事業所得があった人(個人事業主)
④給与所得が2,000円万円を超えている場合
⑤退職所得があった人
⑥譲渡所得があった人
⑦山林所得があった人
⑧一時所得があった人
⑨雑所得があった人
上記の説明のとおり、「個人事業主」の納税の申告は、確定申告でおこないます。
定年後心機一転、新しい職場環境で再就職して、給料を受け取り、毎月所得税を源泉徴収されて12月の年末調整で納める【年間所得税額】が決まったとしても、あなたが【ささやかな事業】で、【個人事業主として開業】していたら、確定申告でもう一度、【総合課税制度】での損益通算で、【年間所得税額】の再計算を行います。
あなたの【ささやかな事業】の赤字が給与所得と相殺され、総合課税で赤字になれば、すでに支払った給与所得税は還付されます(国税還付)
もうお分かりですね。
給与所得税を取り戻すには、個人事業主として開業しなければりません。
そのためには、【開業届】と【青色申告の申請】を税務署に提出しなければなりません。
次のステップでは、【開業届】と【青色申告の申請】について説明します。
8.開業届と青色申告
■開業届(個人事業の開業・廃業届出書)
開業届とは、個人事業を開業したことを税務署に申告するための書類で、正式名称は【個人事業の開業・廃業届出書】と言います。
個人事業主になると、例えば事業から生じた利益に対しては所得税が課せられ、事業規模が大きい場合は個人事業税も課せられ、また消費税の課税事業者に該当する場合には、消費税の申告書を提出し、納税する必要があります。
ただし、課税売上高が年間1,000万円以下である場合は、消費税の納税義務が免除されます。
■青色申告(青色申告承認申請書)
個人事業主になるためには、開業届を出すことが必須条件ではありません。
開業届は、「私は個人で事業を始めましたよ」と言う意思表示を示すに過ぎず、開業届を出したからと言って、副業による収益が事業所得として、直ちに認められるわけではないのです。
個人事業主にとって大きなメリットがあるのは、【青色申告】です。
青色申告をするには、まず開業届を出す。と言う手順になっていますので、多くの人が開業届を出しています。
青色申告の大きなメリットは、
①最高65万円の特別控除が受けられる(2020年から55万円、e-Taxでの申告は65万円)
②家族への給与も全額必要経費にできる。
③赤字分は翌年以降も三年間繰越控除ができる、などです。
この中で、家族への給与が全額必要経費にできるは注意が必要です。
家族が事業主の扶養に入っていれば、使用人にはなれません。
扶養に入っているメリットと、扶養から外して給与を必要経費にするメリットを比較する必要があります。
また、家族に給与(帳簿上でも)を支払う場合、事業主は雇い主として「源泉徴収」をおこない、税務署に使用人としての、家族の所得税を納付する義務が生じます。
青色申告は、きちんと帳簿をつけると言う義務の見返りとして、これらの特典が与えられています。
きちんと帳簿をつけると言うことは、複式簿記で取引のつど仕訳をして、仕訳帳、総勘定元帳、財務諸表などを整理・保存すると言うことです(帳票類の備置(びち)と言います)
でも、心配には及びません。
今は、取引の仕訳入力さえすれば、帳票類や申告書まで自動で作成してくれて、一年間無料で試せる「クラウド型会計ソフト」があります。
私は3年ぐらい前から、弥生会計の【青色申告オンライン】を使っていますが、簡単で扱いやすく短時間で入力できます。
何人かの友人にも紹介したのですが、簿記がわからなくても「簡単仕訳機能」がありますので、経理は、奥様に任せられると、喜んでいました。
また、税制改正にも対応しており利用者は何もしなくても大丈夫です。
これから個人事業の開業をお考えの方々には、絶対のお勧め会計ソフトです。
おわりに
最後に【事業所得】と【雑所得】の区分ですが、事業で得た収入なのか、一時的な収入なのかの定義が曖昧です。
事業所得なら【総合課税】で損益通算ができるのですが、雑所得なら【分離課税】での納税です。
【事業所得】として認められるには、事業の目的【個人事業の開業・廃業届出書】の事業の概要欄(会社では定款)に書かれた事業での収入(売上)かどうか。また、ある程度継続的に収入(売上)があるかどうかが、カギとなります。
仕事の一部でも「請負契約」にできれば良いですね。
個人事業を営む以上は、黒字が良いのはもちろんですが、今回のテーマは、どうやって「給与所得での所得税を取り戻し、翌年の市町村税などを軽減するか」ですから、収入はほどほどに、必要経費はより多くが重要です。
だからと言って、必要経費の水増しは違法ですから処罰の対象となります。
事業としての個人事業を、どのような方向にするのかは、それぞれのライフスタイルと今後の生活設計に応じて決定して下さい。
最後まで、お読みいただきましてありがとうございました。